Without Love 満たされない身体

神谷 幸弥(さや)

2019-03-24
交際期間
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 不発に終わったことが不満だったようで、S男は日を空けず私をホテルに誘ってきた。申し訳なさに似た思いから誘いに応じた。例えて言うならクレーム対応だろうか……

 ホテルに着くとS男は上半身の服を脱ぎ捨て「時間が勿体無いから、そっちもシャワーは抜きで」ベッドに寝転んだ。渋々、服を脱いでベッドに横たわると、S男は隠すように下半分を一気に脱ぎ、私の身体に指一本触れることなく、ゴムを装着した自身のモノをまだ充分に潤っていない中に入れてきた。

擦れるような痛みに耐えている私にお構いなしに、S男は私の中でピストン運動を始めた。

「いきなりシないでよ。ちょっとは触るとか」快感とは程遠い感触に不満の声が出る。

「触るって何処に?」真顔で聞いてくるS男に、開いた口が塞がらない。

 両親が放任主義だったのか無頓着だったのか分からないが、私が物心がついても家には成人向け漫画が目につく場所に放置されており、厳格とは無関係の家庭環境で育ってきた私は、それ等を弟と共に貪るように見ていた。そのせいで保健体育の授業で性教育を受ける前に、性の知識はとっくに頭に入っていた。

とはいえ、半処女とでも言うのだろうか、S男と行為に及ぶまで肉体関係の経験はなかったのだが……

「そんな事くらい自分で考えてよ。分からなかったらビデオでも見て勉強したら?」枕元に手を伸ばしリモコンを取り、モニターのスイッチを入れた。

 一方、S男は私とは違って疎いらしく、画面に映し出された男女の睦事を食い入るように見ていた。見終わった後、男優を真似るように胸や秘部に少し触れたのだが「こんな事しても面白くも何ともないし、気持ち良くない」続けようとはしなかった。

「私を気持ち良くさせようとは思わないの?」

「アソコを触るのは気持ち悪いし、こうやって挿れて動けば、あんたも気持ち良くなれるだろ。そうじゃなきゃ不感症だね」再び腰を振り始めた。

一方的なS男の行為は私の身体を高揚させることはなく、無意味な時間だけが過ぎていった。どれくらいの経ったのだろうかS男の動きが激しくなり、私の中のS男のモノが一回り大きくなった。その直後「うっ」と呻き超えが聞こえS男のモノが欲を吐き出すのを感じた。

「どうして私とヤろうと思ったの?」S男が私に好意を寄せてるとは思えなかった。

「だいぶ前から、早く嫁をもらえって煩く言われててさ。適当な女がいないかなって探してた時に、丁度あんたが入社してきた。嫌いなタイプじゃないし別に良いかなって思っただけ。あんたこそ、何で?」

自分でも、よく分からなかった。
ハッキリ言えるのは、S男の顔はモデル並に整っており、見ているだけなら申し分がなかった。

「上手く言えないけど、嫌いな顔じゃないし、据膳食わぬは恥みたいな……」

このピロートークが告白の代わりにでもなったかのように、その日以降もS男との肉体関係が続いたが、私の身体は満たされることはなかった。

お読みくださり、ありがとうございます。

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