Love Buddy 2人の間の障壁

神谷 幸弥(さや)

2019-02-23
恋愛ヒストリア
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今まで見たことがないMの表情。その視線が向いている病室の入口。そこにいるであろう人物を確かめるべくカーテンの隙間から覗くと、お香に似た香りを纏っている見覚えのある女性と目が合った。

威嚇するように腕組みをしている女性
※イメージ画像/ぱくたそ(www.pakutaso.com)photo:つるたま

あ…、Mの家に来た女の人だ…。

「あら、貴女も来てたの。図々しいわね」
女性が何者なのか察しが付いた。

アンタ、何しに来たんだよ!
てか、俺が此処にいるって何で知ってんだよ!
着替えを終えた彼がカーテンを勢いよく開き、病室の中央辺りまで出てきた。

「私にだって伝はあるのよ。けど、あの子を連れて来なくて本当に良かった。父親が病室に女を連れ込んでいる姿なんて見せたくないもの」

女性の蔑みを含んだ言葉に、自分は別格なんだと自惚れていたことを思い知らされた。

妻子持ちの彼を異性として意識しないよう言い聞かせてたはずなのに、のめり込んでしまっている自分がいる…
何やってんだろ…私…

居たたまれなくて病室から出ようと、入口のほうへ向かった時・・・

ユキ、行くな!
彼に後ろから抱きしめられ、その場に留まった。

「驚いたわ。如何にも優等生ですって顔をしてるくせに、女房にすら指一本触れさせようとしない淡泊なこの人をその気にさせるなんて、貴女ってとんだ女狐なのね」
女性のなじるような視線に胸が痛む。

どんなに罵声を浴びせられようと、Mを求めようとしていた私に弁解の余地があるはずもなく、頭を垂れるしかなかった。

そういう言い方は止せ!
女狐はユキじゃなくてアンタのほうだろ!
声は固く怒りを含んでおり、身体はわなわなと震えていた。大怪我をしたばかりの彼の身体が案じられる。

M、落ち着いて。そんなに興奮すると体に障っちゃうよ?

お前をあんな風に言われて、黙ってられるワケねぇだろ!

私なら平気だから。それよりもMの身体のほうが心配だし、もう昨日みたいな思いをするのは嫌だよ。お願いだからベッドに戻って休んで?
宥めるように彼の腕をゆっくりと擦った。

ん。ごめんな。
声のトーンが安定を取り戻す。

「へーぇ。そんなにこの人のことが心配なんだ。こんな木偶の坊の何処が良いのかしら」

そんな風に言わないで!Mは木偶の坊なんかじゃない!
抑えきれない感情が口を衝いて出る。

ユキ、落ち着け。
あの時みたいに倒れちまうぞ。

Mをあんな風に言われて、我慢出来るワケないよ。

俺なら大丈夫。この女にどんな言われ方をされても何とも思わねぇよ。
彼の手が頭を優しく撫でる。

「呆れたぁ。よくもまあ女房の前でイチャつくことが出来るわね」

アンタにとやかく言われる筋合いはねぇよ。もう縁は切れてるだろ。

「私は認めてないから。不実なことをされて許せるわけないじゃない。あの子がどんなに傷付くか。アナタはあの子の父親なのよ。そんな簡単に解放されるとでも思ってるの?」
母親の立場からすると当然の言葉に胸を突かれる。

母親だったら当然だよ…
同じ母親なのに、奥さんのことばかり気にしてて、彼の子どものことまで気が回らなかった…。
私…本当に…最低だ…。

認知した以上、父親の立場から逃げたりはしない。O型の子どもでもな。けど、不実なことをしたのはドッチだよ。子どもが傷付くことを本気で心配してたんだったら、何で誑かすような真似をしたんだよ。アンタが気にしてたのは自分の体裁だけだろ。

吐き捨てるように言った彼の言葉に息を呑んだ。

O型の子ども…?


今回はこの辺で…


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