Deep Affection 甘美な思い出と青天の霹靂

神谷 幸弥(さや)

2019-04-13
交際期間
2 COMMENTS
 誤解を増長させるような弟の言葉で、S男は疑念を確信に変えたようだった。

「ユキミさんの穴兄弟が、こうやって同じ場所に居るっていうのも妙な話だな」

「穴兄弟とかって下品な言い方すんなよ」

コンビニに出入りする人達が、私達3人にただならぬ雰囲気を感じとったのか、眉をひそめながらS男の車の横を通り過ぎていった。それに気付いた私達は話を中断して車に乗り込んだ。

車を走らせながらS男は話の続きを始めた。

「元カレと今カレだとでも言えば良いのか?」

「元カレじゃねぇよ。コイツと俺の関係は永遠に切れねぇから」

――うん。ある意味、当たってる……

「どっちにしろ穴兄弟に違いはないと思うが……」

――穴って言い方しないでよ。
第一、悠斗は私の中にアレを挿れてきたことなんてないんだから……

S男に弟を侮辱されたような気がして心の中で反論しながら、弟と疑似体験をした時のことを振り返っていた。


 私が13歳で弟が10歳だった時のある夜、映画番組なのか録画されたものなのか定かではないが、居間のテレビに【エマニエル夫人】が映し出されていた。

ストーリーが全く頭に入ってこず、官能的なシーンの映像ばかりが目につく作風に辟易した私は、放送が終了する前に床に就いた。対象的に弟は躊躇う様子もなくテレビに見入っていたようだった。

眠りが浅くなった時、同じ部屋に寝ている弟が私の布団の横に座り込んでいることに気付いた。

「どうしたの?」

「なんだかモヤモヤして眠れねぇ」

「じゃあ、一緒に寝よ?」

今まで眠れなくなった時に弟の布団で寝ていたこともあり、その夜は自分の布団に弟を誘った。

「いつもと逆だね」

子供をあやすように弟の背中をぽんぽんと叩き、弟が眠るのを待った。

「ガキ扱いすんなよ!」

とうに私の身長を追い抜いていた弟が思春期に入り、成熟を始めていないはずがなかった。苛つくように吐き捨てると私の胸を弄くりだした。

「ちょっ……ユウ……やめっ……くすぐったい」

それまで誰かに触られたことがなく、ムズムズとした体感に身をよじらせていると、弟の手は股間まで届きパジャマの上からまさぐった。

「ユウっ……そこ……だめ……何か変……」

知識こそあったものの自身を慰めたことすらなかった私は、身体の奥から湧き上がってくる未知の感覚がとてつもなく不安だった。

弟は止めるどころか、自分の下半身を私の下半身に重ね、盛り上がった部分を押し当て擦り付けてきて、今までに味わったことのないゾクゾクっとした感覚に見舞われ、私は半泣き状態になっていた。

「ねぇ……ユウったら……やぁっ……」

弟の動きは徐々に激しくなり、それに比例するかのようにゾクゾク感が増し、身体に電気が流れたようにピクンと跳ね思わず弟の身体にしがみついた。

「うわぁっ!」

弟は焦ったように叫び、慌てて私の身体から離れると股間を押さえながら部屋から出て行った。弟の身体に何が起きていたのか薄々気付いていたが、どう向き合えば良いのか分からず触れることはしなかった。


 後ろめたくもあり甘酸っぱくもある『ひととき』のことを思い返しながら、弟が言った言葉の意味を考えていた。

「お前、今、あの時のことを思い出してただろ」

――な……何でバレてんの?

「指を咥えてたぞ」

どうやら私には、甘美なことに思い耽ると指を咥える癖があるようで、指摘された通り無意識に指を咥えていた。

「ねぇ?初Hって、あの時のこと?」

「そ。俺の記憶に間違いがなければ、お前にあんなことをしたのは俺が初めて」

「うん。ユウが初めて」

「だろ?だから、嘘じゃないって言ったわけ」

2人で思い出話に耽っていると車が急停車した。

「2人共、俺の存在を忘れてないか?」

後部座席を振り返る恨めしそうな表情のS男を見て、弟と私は顔を見合わせて吹き出してしまった。

「まぁ、俺達はこういう関係だから。女をトイレ扱いするオッサンのような男にだけは、俺の大事なコイツを渡せねぇ。諦めてくれ」

「籍を入れて妻にすれば文句は無いな?」


牽制するような弟の言葉に対して、S男が返したのは思ってもみなかった言葉だった……

お読みくださり、ありがとうございます。

Comments 2

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風花(かざはな)  

心が蕩けそう

背徳感の中でこそ燃える・・・
不思議ですね。
私のように汚れた女でも、純粋な思いはありました。

でも、何かが崩れていったのは、母が家を出て行ったあと・・・
父と添い寝して、背中に抱きついたを思い出します。

本気で抱いて欲しいと思った、あの感覚・・・

読みながら、そんな昔を思い起こしておりました。v-402

2019/04/14 (Sun) 07:03

神谷 幸弥(さや)  

To 風花(かざはな)さん

風花さん、こんにちは。
コメント、ありがとうございます。

当時は、まだ精神的にも未熟でしたから、燃えるっていう感覚も、道を踏み外しているっていう自覚もなかったです。
ただ、自分の身体の変化が怖かったです。

背徳感があるほど燃える……
お気持ち分かります。人間って、罪深いですね。

2019/04/14 (Sun) 12:16

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